どんなに広くて大きな家でも、毎日が快適に暮らせない家では意味がありません。これから毎日を暮らしていく家だからこそ、生活動線もしっかり考えながら快適に暮らせるような工夫が必要となります。家事や子育て、共働きで忙しいご家庭も、生活動線をなるべく短くすることで暮らしやすい動線を作ることができます。
リビングに隣接している子供部屋なら、朝食の支度をしながら「子どもは起きたかな?」と気配で察することができたり、コミュニケーションが取りやすくなったりといったメリットがあります。 キッチンの近くにお風呂を配置することでお子さんの様子をみながらキッチンで家事をすることも可能です。
他にも、洗濯機から洗濯物を干す動線を短くするためにランドリールームを採用したり、洗濯スペースの隣にサンルーム、物干し場の近くにファミリークロークを採用することで洗濯、洗濯物干し、洗濯物を取り込むという動線を短くでき、効率アップが期待できるでしょう。
また、キッチンからランドリー、お風呂といった水回りを中心に、回遊できる間取りにする方法もあります。 回遊できる間取りを採用することで、キッチンから玄関、お風呂からリビングなどどこにいても、どの場所へも行きやすくなるというメリットがあります。家族の人数やライフスタイルを考えながら生活動線に着目した家造りを意識しましょう。
リビング、ダイニング、キッチンとそれぞれの部屋を仕切ることでプライバシーを守ることができますが、子どもが小さいうちは目が離せませんので、思い切ってすべてオープンにすることで生活動線も短くなります。
生活動線を短くコンパクトにすることで家全体もコンパクトになり、建築費用を下げることができるほか、冷暖房効率もあげることができるでしょう。
将来のことを考えて平屋を選択する家庭が増えています。家は一生モノなので、今は平気だったとしても40年後には階段の上り下りが辛くなっているかもしれません。 足腰が弱くなってちょっとの段差で躓いてしまっては危険なので、若い今のうちから平屋を選択しておくことで、将来的に家をバリアフリー化しやすくなります。
将来、車椅子生活になった場合でも快適に暮らせるよう、入り組んだ間取りではなく、なるべくシンプルな間取りにしておくことが大切です。手動車椅子の幅は630mm以下、電動車椅子の幅は700mm以下とJIS規格で決まっているので、廊下の幅や曲がり角なども車椅子が通れる幅があるかをしっかり確認しておきましょう。
住宅メーカーによっては家を作る際のものさしが「尺」基準か「メーター」基準かで別れます。尺モジュールの場合、柱の芯と柱の芯の間が910mmなので有効幅は80cm弱となるのが一般的です。 かたやメーターモジュールの場合は、柱の芯と柱の芯の間が1000mmなので尺モジュールよりも余裕がありますが、実際に車椅子で通る時にギリギリになってしまったり、曲がり角で苦労したりする可能性もあるので、将来のことを考えるのであれば、廊下や玄関の幅もしっかり考えておきましょう。
また、車椅子や歩行器などを使って移動する場合、開き戸の室内ドアもネックとなります。狭い場所にある開き戸の場合は、車椅子の場合、一人で開けられないこともあるため、最初からあえて引き戸にしておくことで空間も有効に活用できます。 お風呂場もあまり狭すぎると車椅子で入れませんので、入り口とお風呂の配置なども考えておくと、後々リフォーム費用がかからずに済むでしょう。
小さいお子さんがいるご家庭の場合は、マンションやアパートで暮らしていると騒音が気になってしまい、アパートやマンションの構造によっては、上下の部屋だけではなく、斜め下、斜め上の部屋にも音や振動が響いてしまうこともあるため、神経をすり減らしている親御さんも多いでしょう。
その点、戸建住宅であれば隣家に対する騒音のトラブルが発生しにくいですが、2階建て・3階建ての場合は、寝室で寝ている時に階下の音がうるさい、夜の洗濯機の音が響くというように、家族間での騒音トラブルも起こりえます。お互いに程よい距離感を作れる平屋は、お互いの生活音を気にしないで暮らすことができるという点もメリットの1つです。
隣家と窓の高さが合うと外からの視線が気になる場合もありますが、注文住宅なら隣家の作りを考慮した上で設計ができるため、相手の窓の位置などを考え、外からの目線が気にならないような位置に窓を作るという設計も可能です。平屋の場合は隣の高い建物からの目線が気になりがちですが、屋根の軒を長く出すことで階上からの目線も気にならないようにすることができます。
交通量の多い道路に面していたり、通行人の多い歩道に面している土地の場合は、あえて道路側の窓は高い位置にして、中庭を作るという方法もあります。平屋住宅は「他人の目線が気になる」「防犯上不安」と言われることもありですが、事前にしっかり対策を取ることで隣家とのトラブルも回避できます。
他にも、先に暮らしている住人から「平屋なら日当たりが変わらなくて安心しました」と言われることもあるため、平屋には住人にとっても隣家にとっても大きなメリットがあるといえるでしょう。